蒼氓

『蒼氓』山下達郎
http://youtu.be/ND8sStL8S6c

タイトルの『蒼氓』とは、「民、人民」を意味する言葉。
第一回芥川賞を受賞した石川達三の小説も同じタイトルですね。
そこからタイトルを引用したと考えるのも、
あながち間違いではないような気もします。

いずれにせよ、この歌のテーマは普通の人の生きる意味について。
辛いことも多い厳しい人生を生き続ける事の意味を探す旅について歌ったもの。

♫憧れや名誉はいらない
華やかな夢も欲しくない
生き続ける事の意味
それだけを待ち望んでいたい


ただ僕がこの曲に共感したのは、冒頭に書いた部分。

♫ちっぽけな街に生まれ
人混みの中を生きる
数知れぬ人々の
魂に届く様に


僕自身が田舎育ちなところもあり、
だからこそ、この部分には強い共感を覚えてしまいました。
田舎から東京にはじめて出てきて一番痛感したのは、
すれ違う人間を誰も知らない
ということでした。

都会の風景は、あまりにも人が多すぎて淋しさが身に染みます。
関係性を断たれた無秩序な人の群れ。
ついさっきすれ違った人の顔も思い出せません。

だけど、この歌を聴くとやはり「蒼氓としてあること」
からの離脱を願ってしまいます。
「憧れや名誉や華やかな夢」そのものが欲しいわけではないですが、
そうした存在がある意味でのモチベーションになることを否定するには
若すぎるのかもしれません。
そんな達観した穏やかな境地には、まったく至らないですが(笑)

その自覚が自分を少しずつでも前進させていくような感覚が確かにあるのです。


大学の卒業式の日にバレー部の同期の主務だった奴がくれた一枚のCD。
「この曲俺が大好きな曲だから、荒武にも聴いてもらいたいから、やるよ」と。
なんか嬉しかったのを思い出します。

自分が置かれている環境や人間関係は、それをどんなに気に入っていたとしても、
やはり時の流れと共にかたちを変えていってしまいます。
突然の変化もあれば、気づかないくらいゆっくりと訪れる変化もあります。
それは仕方のないことです。

だったらせめてよりよいと思える方へ変えていきたい。
常に向上心を持ちながら穏やかに毎日を過ごしていきたいです。
自分の存在意義の危うさは「憧れ」や「名誉」や「華やかな夢」では
ごまかしきれなくなることがあります。


でもどんなに成功したひとだって自分の存在意義に悩むことがあるかもしれません。 きっとそれは自分独りでは解決できないことです。

なぜなら、自分自身の存在意義を認めようともがくその当人の存在意義が
問われているからです。
存在意義があるかどうかわからない者の認めた存在意義など当てにできないから。

「誰にでもできる仕事かもしれない。だけど、他の誰でもないぼくがやったんだ」
と思うことが大切なんだと思います。 「誰かの役に立った」という実感が。

どんな人の存在意義も根本的には危ういもの。
だからこそ、それを互いに支え合う仕組みがあるはず。

僕は音楽を通して、その仕組み=「社会」に貢献していきたいと願っています。



来月の東北ツアー。
大きな節目となるツアーになります。
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よろしくお願いします!

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by arapf331 | 2016-08-11 11:20 | Jazz | Comments(0)  

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